
P-MAXとは?Google広告のパフォーマンス最大化キャンペーンのメリット・設定方法を解説
2025/11/26 未分類Google広告を運用している方の中には、「複数のキャンペーンを管理するのが大変」「もっと効率的に広告配信したい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そんな課題を解決してくれるのが、2021年11月にGoogleが提供を開始した「P-MAX(Performance Max)」です。P-MAXは、検索広告やディスプレイ広告など複数の広告プラットフォームを一元管理し、AIによる自動最適化でコンバージョン数の最大化を図れる画期的な広告キャンペーンです。
本記事では、P-MAXの基本概念から具体的な運用方法、メリット・デメリット、設定手順まで詳しく解説します。広告運用の効率化を図りたい方や、P-MAXの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
P-MAXとは
P-MAXとは、Google広告が2021年11月に提供を開始した広告キャンペーンのことです。
「Performance Max」の略称で、日本語では「パフォーマンスの最大化」と訳されます。
「最大化」という言葉の通り、細かい設定は必要ありません。
P-MAXキャンペーンを導入するだけで、Googleの提供するディスプレイ広告や検索広告など、複数のプラットフォームを一元的に管理・最適化できます。
キャンペーンごとではなく、横断的に広告を配信できるため、広告運用者の管理工数を大幅に削減できるでしょう。
また、AIや機械学習で広告配信を自動化すれば、目標CPAの達成やコンバージョン数の最大化など、設定目標に適した入札価格や広告クリエイティブの調整の最適化も可能です。
P-MAXのGoogle広告での使い方
Google広告でP-MAXを使う場合は、次の4つの運用方法を推奨します。
- 検索キャンペーンとの併用
・既存の検索ではアプローチしきれないユーザーにまで届くため、検索と併用することでリーチを拡大できる。なお、同一クエリに完全一致がある場合は検索が優先される。 - 旧スマートショッピングとしての活用(P-MAX for Store Retail)
・オンラインで商品を販売する小売業者に適している
・旧スマートショッピング機能のアップグレードであるため、データフィードがあればターゲティングを自動化できる。
・従来のスマートショッピングにはなかったコンバージョン数の最大化により、小規模でコンバージョン値のデータが少なくても活用できる。 - 旧ローカルキャンペーンとしての活用(P-MAX for Store Goals)
・実店舗への来店を促進し、ビジネスを拡大する
・ローカル検索広告で地域キーワードなどを設定する必要がない。
・Googleビジネスプロフィールと連携させれば、来店ベースのキャンペーンとして活用できる。 - Googleホテルキャンペーンとしての活用(P-MAX for Travel Goals)
・旅行業者のホテルの直接予約を促進できる。
・Google Hotel Centerのフィードと連携させれば、各施設の広告を自動配信できる。
・Google Hotel Centerを利用していない場合は、CSVまたはGoogleマップを利用し、ホテルフィードを手動で登録できる
P-MAXの使いどころを正しく認識して運用し、広告効果を高めていきましょう。
P-MAXを使用するメリット
P-MAXを使用するメリットは、大きく分けて2つあります。
①コンバージョン数の向上
1つ目のメリットは、コンバージョン数の向上です。
P-MAXのコンバージョンの獲得に特化した機能を活用すれば、これまでリーチできなかったユーザーのアクションを促進し、効率的にコンバージョン数を向上できます。
②運用工数の削減
2つ目の運用メリットは、運用工数の削減です。
横断的に広告を複数の広告枠に配信でき、検索キーワードを選定する必要がないため、広告運用者の作業工数を削減できます。
P-MAXは全自動最適化型の広告ですので、広告運用に関する専門知識を持っている人材を確保する必要もありません。
時間とリソースを節約できるため、特にマンパワー不足の企業におすすめです。
P-MAXを使用するデメリット
P-MAXにはメリットが多い一方、3つのデメリットがあります。
①獲得単価(CPA)が高騰する可能性がある
P-MAXの最大の特徴は、さまざまな広告枠に自動で配信できるところにあります。
その反面人間の管理できる範囲が狭いため、仕様を理解せずに運用すると、コンバージョン単価(CPA)の高騰を招いて予算を消費するリスクもあり、注意が必要です。
②配信結果を考察しづらい
配信結果を考察しづらいのも、P-MAXのデメリットといえるでしょう。
AIの機械学習による最適化は便利な反面、思考のプロセスや根拠のほとんどが人間には解明できず、いわゆる「ブラックボックス問題」を引き起こしています。
レポートで確認できる情報も限られており、人間が広告結果の原因や理由から検証したり分析したりするのは容易ではないでしょう。
③短期間の配信では成果を期待できない
3つ目のデメリットは、短期間の配信では成果を期待できないことです。
AIの機械学習でそれなりの結果を出すためには、ある程度のデータ量を蓄積する期間を必要とします。
ちなみに、Google広告の公式ヘルプで推奨しているデータ収集のためのテスト期間は、配信から4~6週間程度です。
従って、期間限定のスポット配信に導入した場合は、あまりおすすめできません。
P-MAXを使用する注意点
P-MAXを使用する際の注意点は、次の4つです。
①検索広告キャンペーンとの併用
1つ目の注意点として、P-MAXは検索広告キャンペーンと併用しましょう。
P-MAXでも検索広告は配信されますが、それだけでは十分な効果を発揮できません。
特に、コンバージョン見込み率の高いキーワードは、検索広告キャンペーンと併用したほうが広告効果も大きいでしょう。
②広告アセットの登録
P-MAXを運用する際は、広告アセットの登録にも注意が必要です。
P-MAXには、キャンペーンの作成時にテキスト・動画・画像・広告見出し・説明文・オーディエンスなど、さまざまなアセット項目があります。
最終ページURLごとに異なるアセットグループを作成すると、自動的に組み合わされて配信される機能です。
本機能で設定できる上限までアセット項目を設定し、訴求対象別にアセットのバリエーションを増やすことで、より多くの広告面での広告効果を見込めるでしょう。
③自動作成アセットの設定
3つ目の注意点は、自動作成アセットの設定です。
自動アセットとは、ドメインや広告内容、ランディングページのコンテンツなどを基に、AIが自動で作成する見出しや説明文のことです。
ユーザーの検索キーワードに合わせて、広告運用者が手動で作成したアセットと自動作成アセットから最適とされる広告文を組み合わせて作成・配信されます。
しかし、実際にどう配信されているかは、レポート上では確認できません。自社で意図しない広告配信が増加する可能性があることを覚えておきましょう。
④オーディエンスシグナルの検証
オーディエンスシグナルの検証にも、注意する必要があります。
オーディエンスシグナルとは、顧客となる可能性のあるユーザーを判断するデータのことです。
Google広告では、ユーザーの興味や属性、購買の意向などを設定すると、AIの学習期間を短縮できます。
リアルタイムの運用結果とオーディエンスシグナルに基づいてキャンペーンの学習が進むため、Googleサイドに自社のターゲットユーザーを知らせる意味でも、この設定は重要です。
また、P-MAXの配信対象は、オーディエンスシグナルの設定によって変動します。
コンバージョンの効率的な獲得や増加を狙う場合は、過去訪問者のリマーケティングリストやカスタムセグメントの追加も検討するとよいでしょう。
P-MAXに向いている商材は?
P-MAXは、あらゆる広告枠からアプローチする観点から、次の3つの商材に最適です。
- ECサイトなど、BtoC向け小売業全般
- リースやITツールなどのBtoB向けビジネス
- 個人事業主を対象とするBtoB向けビジネス
これまでには、学習塾・人材業界・住宅業界・食品業界・ウェディング業界などで活用された事例があります。
昨今は、ビジネス上でのスマートフォンの活用も増えていますので、今後の活用の仕方次第で幅広い業界のBtoB向けビジネスにも大きく寄与するでしょう。
P-MAXの設定方法
P-MAXは、Google広告の管理画面または広告エディタのいずれかで設定します。
管理画面からの設定
管理画面からの設定手順は、次の通りです。
- Google広告の「キャンペーン画面」の「+」アイコンからキャンペーン目標を選択
- キャンペーンのコンバージョン目標を選択し、「続行」をクリック
- 「キャンペーンタイプ選択画面」で「P-MAX」を選択し、キャンペーン名を設定
- 予算と入札価格を決定
- キャンペーン設定から地域・言語・最終ページURLの拡張・その他の設定を決定
- 入稿規定に従って、クリエイティブのアセットグループを作成
- 広告表示オプション・動画アセットを設定する
- オーディエンスシグナルを登録
広告表示オプションを追加すると、広告効果が上がりやすくなりますのでなるべく設定しましょう。
動画アセットは、Googleの自動生成を防止するため、少なくとも1つ以上を選択することをおすすめします。
なお、オーディエンスシグナルの登録データは、機械学習の参考となるものですので、できる限り細かく設定したほうがよいでしょう。
また、配信先は、Google側が「コンバージョンの可能性が高い」と判断するユーザーに自動的に配信され、手動では設定できませんので注意しましょう。
広告エディタからの設定
広告エディタからの設定方法は、次の通りです。
- 広告エディタをGoogle広告公式サイトからダウンロードし、セットアップを完了
- 「アカウントマネージャー」の画面左上にある「+追加」をクリックし、Googleアカウントでログイン
- 編集パネルで「コンバージョン目標」の右側にあるアイコンをクリック
- エディタから選択したP-MAXキャンペーンに提供する目標を設定
なお、検索バーから特定の目標を検索して、設定することもできます。
広告エディタでは、キャンペーンや広告グループのオフラインでの作成・編集、一括して複数の広告の作成・変更も可能です。
まとめ
P-MAXは、Google広告の複数プラットフォームを一元管理し、AIによる自動最適化でコンバージョン数の向上と運用工数の削減を実現する革新的な広告キャンペーンです。
特に、ECサイトなどのBtoC向け小売業や、リース・ITツールなどのBtoB向けビジネスに適しており、従来の手動運用では難しかった横断的な広告配信が可能になります。
ただし、予算の高騰リスクや配信結果の分析が困難といったデメリットもあるため、検索広告キャンペーンとの併用や、適切なオーディエンスシグナルの設定など、注意点を理解した上で運用することが重要です。
P-MAXを効果的に活用することで、広告運用の効率化とパフォーマンス向上の両立が期待できるでしょう。まずは4〜6週間のテスト期間を設けて、自社のビジネスに適しているかを検証してみることをおすすめします。
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