P-MAXの運用方法|戦略的に広告効果を高める5つのポイントを徹底解説
2024/11/21 WEB広告P-MAXの運用方法で重要なのは、従来のキャンペーン広告との違いや自社商材に適しているかどうかを正しく理解し、注意点を押さえることです。
特に、P-MAXはGoogle広告のなかで比較的新しいサービスでもあり、運用方法が広告効果を左右するといっても過言ではありません。
そこで今回は、P-MAXの運用方法で戦略的にP-MAXの広告効果を高める5つのポイントについて詳しく解説します。
目次
P-MAXとは
P-MAXとは、2021年11月にGoogle広告が提供を開始した広告キャンペーンのことです。
「Performance Max」の略称で、日本語では「パフォーマンスの最大化」を意味します。
「最大」という言葉からも分かる通り、広告を運用する際に細かい設定を必要としません。
P-MAXの大きな特徴は、Google広告の複数のプラットフォームを統括し、管理・最適化できることです。
広告キャンペーンごとではなく横断的に配信できるため、運営する際の管理工数を大幅に削減できるでしょう。
また、P-MAXのAI機械学習によって、CPAの最小化やコンバージョン数の最大化など、設定目標に応じた入札価格や広告クリエイティブを最適に調整できます。
P-MAXと従来のキャンペーン広告との違い
P-MAXと従来キャンペーン広告との最も大きな違いは、AIの機械学習による「自動化・最適化」です。
従来キャンペーンは、広告運用者がパラメータの多くを手動で調整必要がありましたが、P-MAXでは全て自動化されます。
また、キャンペーンごとにGoogleの特定サービスやサイトに限定された従来キャンペーンとは異なり、P-MAXはGoogleの全ての広告枠が配信対象です。
複数の配信面に対応するため、収集データ量やバリエーションも従来キャンペーンよりP-MAXのほうが多くなります。
P-MAXに期待できる効果
P-MAXに期待できる効果は、大きく分けて3つあります。
複数のGoogle広告枠への配信
1つ目は、先述の通り、複数のGoogle広告枠への配信です。
P-MAXでは、1つのキャンペーンでGoogleの全ての広告枠に配信されるため、複数の広告に分散していた広告予算を一元化できます。
キャンペーンごとにクリエイティブを作成せずに効率的に配信できるのは、広告運用者にとって大きなメリットといえるでしょう。
効率的なコンバージョンの獲得
効率的なコンバージョンの獲得も、P-MAXで期待できる効果です。
Googleがユーザーの興味やニーズ、アクションを把握し自動でターゲティングするため、これまで使用したことのない広告グループへの配信で新たなユーザー層にリーチできます。
実際、Google社によれば、広告運用者がP-MAXを新たに導入したところ、これまでと同じ単価で、コンバージョンが平均18%増加したとのことです。
ちなみに、P-MAXで獲得したコンバージョンは、分析情報の「消費者スポットライト」の項目にある「検索語句に関する分析情報」で確認できます。
検索カテゴリから「詳細を表示」をクリックすると、実際にコンバージョンを獲得したキーワードを閲覧できますので、チェックしてみましょう。
AI学習の自動最適化による運用工数の削減
AI学習の自動最適化で運用工数を削減できるのも、P-MAXの導入効果のひとつです。
配信された広告はデータとして蓄積され、AIの機械学習で最適化するため、運用の手間がかかりません。
広告運用では、市場調査や運営戦略・広告結果の分析など、事前の入念な準備が広告効果を高めます。
P-MAXの自動最適化で運用工数を減らし、広告運用者がこれらの本来の業務に専念できれば、大きな成果を期待できるでしょう。
P-MAXで戦略的に広告効果を高める6つのポイント
戦略的にP-MAXを運用するには、押さえるべきポイントがあります。
この章では、広告効果を高める6つのポイントについて説明しましょう。
長期的な視点で配信スケジュールを設定する
1つ目のポイントは、長期的な視点で配信スケジュールを設定することです。
P-MAXで最適化を図るためには、AIの機械学習による学習期間を必要とします。
従って、初期段階の広告は、AIに学習させるための配信といってよいでしょう。
キャンペーン目標にもよりますが、コンバージョン数の目安として1日10~20件あれば、設定目標の実現に向けてAIの機械学習が最適化されます。
ほかのキャンペーンで得たユーザーの属性や興味・趣味・インサイトなどで機械学習を補強しながら明確にゴールを定め、無理のない配信スケジュールを設定しましょう。
既存の検索キャンペーンと併用する
P-MAXの効果を高めるため、既存の検索キャンペーンと併用しましょう。
P-MAXでも検索広告は配信されますが、コンバージョンを見込み率の高いキーワードについては、既存の検索キャンペーンとの併用でより大きな効果を期待できます。
最適な動画素材を準備する
最適な動画素材を準備するのも、効果を高めるための大事なポイントです。
P-MAXでは、「動画広告を掲載しない」という設定ができません。
動画素材がなくてもクリエイティブを作成できますが、動画素材がない場合は、入稿した画像とテキストを組み合わせた自動生成動画が配信される可能性があります。
画像とテキストの組み合わせ次第では、動画の質が水準を満たないこともあり得ますので、注意が必要です。
運用する際は、アセットの詳細から自動生成動画の有無について確認し、必要に応じてオリジナルの動画と差し替えてブランドイメージの維持に努めましょう。
効果測定と配信前後の分析を徹底する
広告効果を高めるためにも、効果測定と配信前後の分析を徹底しましょう。
P-MAXに限りませんが、広告運用は、効果を測定し今後の配信に活かすことが重要です。
キャンペーンを開始してからAIの学習期間に推奨されている4~6週間後に、アカウントのCPAやCV数の変化で広告効果を測定しましょう。
P-MAXは動画広告やディスプレイ広告の枠にも配信されますので、アカウント全体の成果を分析し、分析結果によってはクリエイティブや配信設定の改善・変更をおすすめします。
拡張機能を活用する
拡張機能を活用するのも、P-MAXの効果を高めるためには重要です。
最終ページURLの拡張機能を使えば、ユーザーが検索する語句や検索意図によって最終ページのURLを自動的に置き換えてくれます。
デフォルトで、最終ページには遷移先のURLのドメインに含まれているページが設定されていますが、目的によってはLPの最終ページURLが適切でないケースもあるでしょう。
このような場合は、利用したくないページをURLの除外設定で除外できます。
拡張機能で最終ページURLを変更すれば、通常のLPではリーチできなかったユーザー層を獲得できるため、コンバージョン率の向上も期待できるでしょう。
GoogleAnalytics4にて、P-MAX経由で入ったランディングページのURLを確認することができるので、効果の悪いページは除外してみてもイイかもしれません。
キーワードを除外する
広告効果を高めるためには、キーワードの除外も検討しましょう。
P-MAXは、配信面やキーワードを調整できないとされていますが、Google社に問い合わせて除外したいキーワードリストを提供すると、特定のキーワードの除外も可能です。
いままで予想もしていなかったようなキーワードで配信をしてくれ、効果を高めてくれるという側面もありますが、自社指名(バイネーム)のキーワードを侵食してしまうこともあるので、除外設定も重要となってきます。
P-MAXの実際の運用方法
この章では、P-MAXの実際の運用方法について説明します。
従来キャンペーンとの違いも意識しながら、次の6つのステップに沿って設定しましょう。
キャンペーンの作成(目標・コンバージョン・キャンペーンタイプ)
キャンペーンの作成方法は、以下の通りです。
- 管理画面の「+」から「新しいキャンペーンを作成」をクリック
- 「キャンペーン目標を選択」をクリック
- 「販売促進・見込み顧客の獲得・Webサイトのトラフィック・来店数と店舗売上の向上・目標を設定せずにキャンペーンを作成する」を選択
- 既存設定の削除・新しいコンバージョンを追加などを調整してコンバージョンを設定
- キャンペーンタイプから「P-MAX」を選択
戦略の設定(予算:入札単価)
戦略の設定方法は、以下の通りです。
- 「予算と入札価格」から1日あたりの平均予算希望額を設定
- 単価設定で重視している要素で「コンバージョン」または「コンバージョン値」を選択
- 目標コンバージョン単価または目標広告費用対効果を設定(任意)
初心者の方は「目標コンバージョン単価または目標広告費用対効果」を無理に設定しなくても良いです。
目標コンバージョン単価を低く設定してしまうと、配信量を担保できなかったりという弊害もあります。
キャンペーンの設定(配信地域・言語・最終ページURL)
キャンペーンの設定方法は、以下の通りです。
- キャンペーン設定で、配信地域「すべての国と地域・日本・別の地域を入力する」を選択
- 言語「ユーザーの言語」を選択
- 「その他の設定」をクリックし、「最終ページURLの拡張」で「オン」または「オフ」を選択
キホンですが、「日本」「日本語」を選択しないと英語圏にも、もちろん配信されてしまいます。
アセットグループの作成(テキスト・画像・動画)
アセットグループを作成し、広告脇に配信されるクリエイティブのデータを設定します。
アセットグループの設定方法は、以下の通りです。
- アセットグループを開き、「アセットを編集します」をクリック
- 「最終ページURL・画像・ロゴ・動画・広告見出し・長い広告見出し・説明文・広告を促すフレーズ・会社名」の中から「+」をクリック
- それぞれロゴ・画像・動画をアップロード
なお、P-MAXの「テキスト・画像・動画」は、各入稿項目の最大数を設定したほうが配信のバラエティが多彩になります。
テキスト・画像・動画をアップロードする際は、字数やサイズが規定されていますので、注意しましょう。
①テキスト
テキストの規定字数等の条件は、以下の通りです。
- 最終ページURL :
- 広告見出し:半角30文字(全角15文字)まで
- 長い広告見出し:半角90文字(全角45文字)まで
- 説明文:半角90文字(全角45文字)まで
- 会社・サービスの名前:半角25文字(全角12文字)まで
- 行動を促すフレーズ(CTA):角90文字(全角45文字)まで
- 表示URL:半角15文字まで
ちなみに、「2.広告見出し」と「3.長い広告見出し」の推奨登録数は「5」「4.説明文」の推奨登録数は「4」とされています。
複数登録する必要のある項目は、組み合わせてもマッチするように注意し、同じ内容にならないよう工夫しましょう。
②画像
画像のファイル形式は、JPGまたはPNGのいずれか、ファイルサイズは、最大5,120KBです。
画像のセーフエリアは、中央寄りの80%に配置しましょう。
画像の向きやサイズの規定は、下記の通りです。
画像の種類 |
規定サイズ |
①横向きの画像(1.91:1) |
推奨:1200✕628ピクセル |
②スクエア画像(1:1) |
推奨:1200✕1200ピクセル |
③縦向きの画像(4:5) |
推奨:960✕1200ピクセル |
④スクエアロゴ(1:1) |
推奨:1200✕1200ピクセル |
⑤横向きロゴ(1:1) |
推奨:1200✕300ピクセル |
なお、①②の推奨登録数は「3」とされています。
③動画
動画は、最低でも10秒以上の動画を用意しましょう。
推奨登録数は「5本」で、縦型・横型・スクエアのいずれかで設定できます。
なお、動画をアップロードしない場合は、Googleサイドで自動的にほかのクリエイティブから自動生成することがありますので、注意しましょう。
オーディエンスシグナルの登録
オーディエンスシグナルを登録すると、AIの機械学習の精度がより高まります。
設定できる項目は、次の4項目です。
ユーザー属性 |
・年齢 |
自社データ |
・ユーザーリスト |
カスタムセグメント |
・関連性の高いキーワード |
追加のオーディエンス セグメント |
・詳しいユーザー属性(生活習慣など) |
多くのオーディエンスシグナルを設定し、自社商材・サービスに適した属性・行動パターンでターゲティングすれば、コンバージョン率の向上も期待できます。
広告表示オプションの設定
広告表示オプションは、従来のキャンペーンと同様、クリック率やCPAなどを左右するといわれています。
オプションは、全部で13項目です。
1.サイトリンク
2.電話
3.住所
4.価格
5.画像
6.ビジネスの名前
7.会社のロゴ
8.コールアウト
9.プロモーション
10.アプリ
11.アフィリエイトの住所
12.リードフォーム
13.構造化スニペット
できるだけ多くの項目を設定し、P-MAXの広告効果を最大限に引き出しましょう。
P-MAXの運用に適した商材
一定規模の予算が取れて、CV数が担保できるなら、結構どんな商材でも使えるイメージです。
比較的新しい配信手法ですが、当社ハリキリではITソフトウェアなどのBtoB製品や、人材、Eコマース、ウェディング業界などを始めとしたBtoCの商材でも活用実績があります。昨今は、ビジネスでのスマートフォンの活用も増加している傾向ですので、活用の仕方次第では、BtoB向けビジネスでも大きな効果を期待できるでしょう。
P-MAX運用方法を実践する際の注意点
P-MAX運用方法を実践する際は、いくつか注意点があります。
この章では、実際に運用する際に注意すべきポイントについて説明しましょう。
細かい設定はできない
P-MAXは自動最適化が大きな特徴ですので、気軽にWebマーケティングで運用できる一方、手動による細かい設定はできません。
しかし、先述の通り、2023年1月のアップデートにより、アカウント単位であれば特定のキーワードを除外できるようになりました。
今後も、各機能についてアップデートされる可能性がありますので、最新情報の入手に努めましょう。
アセットを入れ替える必要がある
P-MAXは、手動による詳細な設定はできませんが、機械学習だけに頼るとCPA(顧客獲得単価)が悪化する可能性もあり、注意が必要です。
そこで、アセットの3段階の評価「低」「良好」「最良」を確認し、必要に応じて評価の低かったアセットを新しいものと入れ替えるとよいでしょう。
P-MAXのアセット評価の確認方法は、以下の通りです。
- 管理画面のキャンペーンアイコンをクリック
- 「キャンペーン」をクリック
- アセットレポートを確認するキャンペーンを選択
- 左側のパネルの「キャンペーン」にある「アセットグループ」をクリック
- アセットレポートを表示するアセットグループの「詳細を表示」をクリック
定期的にチェックしてアセットを入れ替えて、必要に応じてパフォーマンスを改善しましょう。
配信結果の分析が難しい
P-MAXのメリットでもあるAIの学習機能による自動化は、気軽に使用できる反面、配信結果の分析は容易ではありません。
従来のキャンペーン広告と比較すると、レポートの情報量も少なく、ユーザーやアセットごとの詳細な情報から結果を検証し新たな戦略の策定が難しい現状にあります。
当面は、P-MAXのキャンペーン全体の数値と、キャンペーン内の「リスティンググループ」の数値、「商品」の「診断」に記載された数値から分析されるとよいでしょう。
「リスティンググループ」の数値は、リスティング広告とショッピング広告に配信された数値の合計で、「診断」はショッピング広告で配信された結果の数値です。
ディスプレイ広告やディスカバリー広告の配信数値は特定できませんが、リスティング・ショッピング・その他の3項目に分類すれば、ある程度の見通しが立つでしょう。
短期間の配信には向いていない
P-MAXは、短期間の配信には向いていないことも念頭に入れておくべきでしょう。
自動最適化を特徴とするP-MAXは、AIの機械学習の精度を高めるために、ある程度の学習期間を必要とします。
ちなみに、Google社が公式ヘルプで推奨しているデータ蓄積のテスト期間は、配信後4~6週間程度です。
広告効果を高めるためにも、AIの学習期間を考慮に入れて運用計画を策定しましょう。
まとめ
P-MAXの運用方法は、今後のアップデートによって変更される可能性があります。
しかし、初心者でも比較的簡単に作成でき、Google広告の複数の広告枠に自動で配信できるという特徴を活かして運用すれば、費用対効果も大きいでしょう。今後の広告サービスを大きく変える可能性のあるP-MAXの運用方法やポイントを十分把握し、自社や商材に適した運用でコンバージョン率を高めましょう。
P-MAXは配信しておけば、なんとかなるという媒体ではなく、素人でもカンタンに配信できるが、玄人でも扱いにくいという部分を注意しなければなりません。